■６番人気・４着■　不利な外枠からの初陣も立ち回りの上手さと、キレのある末脚で差のない４着に好走した。高額取引馬で川田騎手鞍上のエピッククイーンが１番人気に応え逃げ切ったが、スローペースの上り勝負のなか中団から唯一差を詰めて接戦を演じている。デビュー前の追い切りではウッドで一杯に追われ、馬場の真ん中を通って５Ｆ66.8-36.9-11.3秒をマークするなどキレのある動きを披露していたが、東京1400ｍの17番枠は如何にも不利で６番人気の評価となっていた。レースではやや立ち遅れのスタートから徐々に馬順を上げ、向こう正面中程ではラチ沿いに潜り込み折り合いを付ける。スローペースでやや行きたがる面は見せていたが鞍上はじっくりと脚を溜め、道中は我慢させるレースを選択。直線に向き手応えには余裕があり弾けそうな雰囲気があったが、前が壁になり先行集団よりも追い出しが遅れてしまう不利。残り400ｍで外の馬との僅かな隙間にスッと入りスパートを開始するも、ラスト11.6-11.2-11.0秒の高速上りで逃げ込みを図った勝ち馬に有利に働き上位勢に迫った所でゴールとなってしまった。しかし上り最速をマークして勝ち馬とは0.2秒差で、３着馬にはクビ差まで迫りポテンシャルの高さは示している内容である。母父フランケルの重厚な母系に、今後の活躍が期待される注目の種牡馬シスキン産駒でもあり下級条件クラスで終わる馬ではなさそうだ。パワーを兼ね備えていそうな配合で瞬発力が要求される東京コースがベストとは言えないが、まだ人気面で妙味がありそうな次走での勝ち上がりに期待してみたい。

■４番人気・７着■　人気を下回る結果に終わったが、展開向かずの敗戦でポテンシャルの高さは十分に示していた。デビュー前の追い切りは坂路オンリーの調整ながら好時計をマークし、関東遠征の初陣ながら４番人気に推されていた。真ん中の枠順から互角のスタートを切るも行き脚が鈍く中団後方の位置取りとなってしまった。終始馬群に包まれながらの追走も怯むことなく手応え良く上々の追走力を見せる。中盤で12秒台後半のラップが続くメイクデビュー戦らしいスローペースで、先行集団が直線で高速上りをマークする厳しい流れとなり、ラスト３Ｆは11.6-11.1-11.3秒と４コーナーで１～４番手の馬が上位を独占したが、やや内に刺さりながらも上がり33.7秒をマークし、残り100ｍからの脚色は上位勢を上回る鋭いものであった。まだ坂路のみの仕上げでレースに挑んでおり、今回の経験は次走で大きな上積みとなりそうだ。サートゥルナーリア産駒のキレ味に、母・レイホーロマンスは晩成型の重賞好走馬と母系もしっかりしており、成長力のありそうな配合も今後に向けて心強い材料である。本格化は先という印象もあるがデビュー戦から好内容を示しており、早い段階で未勝利は卒業するだろう。次走は大きな上積みでさらに破壊力ある末脚が期待できる。

■６番人気・３着■　春のクラシックホース２頭の２強対決ムードで迎えた牝馬クラシック最終戦は、大きく明暗が分かれる結果となりエンブロイダリーのが２冠達成で世代牝馬チャンピオンに輝いた。３着に敗れたが世代トップクラスのパフォーマンスを見せた３着馬を取り上げたい。不利な大外18番枠から好スタートを切り中団確保策に出ると思われたが、行きたがる素振りを見せた事で丹内騎手は折り合いを意識して後方に下げ、１コーナーは大外を回らされて後方３番手の位置取りとなる。先手を奪った武豊騎手の絶妙なペース配分と仕掛けにより後方待機組は地力のない馬でないと上位に迫れない展開。動きのないまま３コーナーを向かえパラディレーヌは後方３番手から徐々に進出し、直線入口では中団大外からスパートを開始する。直線半ばでは逃げるエリカエクスプレスと早め２番手に上昇していたルメール騎手のエンブロイダリーが後続を引き離し、マッチレースの様相で凌ぎを削っていたが、残り200ｍから一気に２頭に迫る末脚でゴール前では唯一先陣争いに加わっていた。内回りコースで終始大外を回りながら上り34.4秒の最速をマークし、後方待機組では唯一差のない所まで追い上げていた。重賞では内に詰まりスムーズなレースができないながら上位争いを演じており、スムーズに能力を発揮できればクラシックホースにヒケを取らないポテンシャルがあると証明してみせた一戦でもあった。母系は米国ダートの短距離血統で、父はパワー兼備のキズナ。過去の走りや序盤に見せた行きたがる気性からも距離短縮戦でさらにパフォーマンスを上げてきそうだ。今後舞台替わりの一戦で重賞初制覇に期待してみたい。